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コロナ禍でも光る、星野社長の考えに触れられる「星野リゾートの教科書」/2010年 中沢 康彦著

目次

 

概要

今回のコロナ禍で、いち早く「マイクロツーリズム」を提唱した星野リゾート代表・星野佳路社長。TBSの「がっちりマンデー」ではインバウンドが縮小する影響は、国内の近所旅行=マイクロツーリズムでカバーできると、観光業に活路を示した。

 

その先見性、戦略眼からある種畏敬の念を持っているが、実はその戦略には『教科書』があるという。経営学の専門家が書いた書籍を何度も読み込み、「教科書通り」に実践することで、星野リゾートの事業を拡大してきたというのだ。

 

何を、どう読んで、どういった形で実践しているのか。社長への取材や、星野リゾートの運営施設を回り、具体的な事例を交えて読み解いている。

 

星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則

星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則

  • 作者:中沢 康彦
  • 発売日: 2010/04/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

マイクロツーリズムとは・・・

自宅から30分~1時間で行ける範囲で、非日常を味わう小旅行のこと。星野リゾートHPでは以下のように記されている。

遠方や海外への旅行に対し、3密を避けながら地元の方が近場で過ごす旅のスタイル。自宅から30分〜1時間程の距離で、安心、安全に過ごしながら地域の魅力を深く知るきっかけになり、地域経済にも貢献します。保養目的で旅館やホテルに行き、温泉や自然散策、料理を楽しみ、活力を取り戻す滞在旅行です。

(以下サイトより抜粋)

 

 

Recomend Points

基本的な教科書の使い方から3ステップで紹介

なぜ「教科書」に基づく手法を使うようになったのか、その理由(下記はほんの一部を抜粋。本書ではもっと深い考察がある)が冒頭にあり、その後実際の活用方法へと続く。書籍からの実践をこの本からもできるように、配慮が感じられる。

 

「企業経営は、経営者個人の資質に基づく「アート」の部分と、論理に基づく「サイエンス」の部分がある。(中略)私は自分の経営手法の中でサイエンスを取り入れる必要性を感じ、教科書を根拠とする経営を始めた。

 

どの局面で活用したかを事例で紹介

どの施設のどういう状況下(どういう課題を抱えていたか)で、その「教科書」を活用したかがわかるように、事例を紹介している。

 

例えば。コトラーの「マーケティング・マネジメント 基本編」を実践した「リゾナートマム」。魅力が打ち出せてなく、他リゾート地に溝を開けられ埋没していた。そこで競合する他社を調査し、自社・他社の地位や関係性を理解することで、「ニッチャー」戦略を見出し、立て直しに成功した。

 

コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編

コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編

 

 

他にも、リーダーシップ・組織改革・人材育成の実践事例も読みごたえがある(下記は『熱狂的ファンをつかむコンセプトを作る 競争力向上のカギは「自分たちで決める」』事例より一文を抜粋)。

 

「スタッフが自分達で考えてコンセプトを決めるからこそ、納得感があるし、共感できるようになる。それはスタッフが自分たちの力で施設を良くしようというモチベーションにつながる」。星野社長はこう考える。

その背景にあるのが・・・

 

ひとこと

嵐山から船で旅館に向かう、「星のや 京都」。京都を日本を味わえる贅沢な仕掛け。コロナが収束に向かい、遠方へも大手を振って行ける環境になったら行ってみたい旅館のひとつ。

 

 

ついでにふたことめ(余談)

今世間は《Go Toキャンペーン》の議論が盛り上がっているが、個人的には「マイクロツーリズム」を活性化し【段階的な】国内旅行の活性化を始めていく、といった話が影を潜めていることを疑問に思う。一国民として、1兆7000億円は、日本全体を俯瞰して優先順位付けや有効性判断を行った上で使って欲しい。

 

2020年7月19日、フジテレビの「ワイドナショー」で松本さんが話していた、旅行先への「前払い」制(コロナの状況に応じて後日宿泊する)もいい案だと思う(前払い制は飲食店などですでに実施しているところもある)。